非常用発電機の負荷試験は何年に1回実施する?目的・方法などを解説
非常用発電機は、停電や災害時に消防設備や重要設備へ電力を供給する重要な設備です。
しかし、通常時は基本的に稼働しないため、定期的な点検を行わなければ、非常時に正常に作動しない恐れがあります。
「負荷試験は何年に1回必要なのか?」「2018年の法改正で何が変わったのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、負荷試験の目的や実施頻度、点検方法についてわかりやすく解説します。
非常用発電機の負荷試験とは?

非常用発電機は通常時に基本的に稼働しないため、不具合の発見が遅れると、災害や停電などの非常時に起動しなかったり、途中で停止したりする恐れがあります。
そのため、いざという時に正常に稼働させるためには、定期的な性能確認が必要不可欠です。
その性能確認のひとつが「負荷試験」です。
負荷試験は、原動機にガスタービンを用いる自家発電設備を除き、消防法に基づく機器・総合点検の項目として実施が求められています。
病院・ビル・工場・商業施設など、多くの施設で必要となる点検です。
非常時に消防設備(消火栓、スプリンクラー等)や重要設備が正常に稼働できることを目的として、発電機に実負荷や模擬負荷(負荷試験機)をかけ、安定して電力を供給できるか、不具合がないかを確認します。
負荷試験を定期的に実施することで、非常時に発電機が動かないというリスクの低減につながります。
非常用発電機の負荷試験は何年に1回実施する?

「負荷試験は何年に1回実施するのか?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
非常用発電機の負荷試験は、原則として年に1回実施が必要です。
非常用発電機は、消防法に基づく点検対象設備のため、6か月ごとの「機器点検」と、1年ごとの「総合点検」の実施が求められています。
総合点検では、発電機が正常に始動するかを確認するだけでなく、実際に負荷をかけた状態で安定した電力供給ができるかを確認する必要があります。
この性能確認に含まれるのが「負荷試験」です。
非常用発電機は通常時に稼働する機会が少ないため、消耗部品の劣化や不具合に気付くのが遅れる場合があります。
そのため、定期的な負荷試験を実施し、非常時でも確実に稼働できる状態を維持することが重要です。
ただし、近年の制度改正により、予防的な保全策を毎年実施している場合は、負荷試験または内部観察を6年に1回まで延長することができるようになりました。
2018年の消防法改正内容
2018年6月の消防庁告示改正により、非常用発電機の点検方法が見直され、運転性能の確認方法に選択肢が追加されました。
主な改正内容は次の4点です。
・負荷試験の代替として「内部観察等」が認められた
従来、総合点検における運転性能の確認は、負荷試験が一般的でした。
改正後は、負荷試験に加えて内部観察等による確認も認められ、いずれかの方法を選択して実施できるようになりました。
・条件を満たせば、点検周期を6年に1回に延長可能
運転性能の確認(負荷試験または内部観察等)は、従来1年に1回の実施が必要とされていました。
しかし、予防的な保全策を毎年適切に実施している場合は、運転性能確認の実施周期を6年に1回まで延長できるようになりました。
・ガスタービンの発電機は負荷運転確認の対象外
原動機にディーゼルエンジンではなくガスタービンを用いる非常用発電機については、負荷運転による確認対象から除外されました。
・換気性能点検の実施条件が変更
換気性能点検は従来、負荷運転時に実施していましたが、無負荷運転時等に実施する運用へと変更されました。
実施しないとどうなる?

非常用発電機の運転性能の確認(負荷運転等)を実施しない場合、最も大きなリスクは、災害や停電などの非常時に発電機が施錠に作動しなくなる可能性が高まることです。
非常用発電機は、通常時に長時間稼働する設備ではないため、不具合や劣化に気付きにくいという特徴があります。
そのため、無負荷運転のみの点検を継続していると、実際の使用環境に近い状態での確認ができず、次のような不具合が発生する恐れがあります。
・燃焼不良による出力不足
・エンジン内部へのカーボン蓄積
・黒煙・白煙の発生
・発電機の始動不良
・電圧や計器表示の不安定化
負荷試験は、こうした異常や劣化の兆候を早期に発見し、重大なトラブルを未然に防ぐために重要な点検です。
負荷試験を行わないことは、単に点検を省略するだけの問題ではありません。
非常時の安全確保や、企業・施設の事業継続計画(BCP)にも大きく関わる重要な管理項目といえます。
非常用発電機の負荷試験の方法
非常用発電機の負荷試験は、専門的な知識や専用機材を必要とするため、安全かつ確実に実施するには専門業者へ依頼することが重要です。
試験前には、発電機本体や周辺設備の状態を確認し、オイル漏れや冷却水、燃料の状態などに異常がないかを点検します。異常が見つかった場合は、トラブル防止のため試験を中止することもあります。問題がなければ、まず無負荷状態で試運転を行い、始動状況や異音・振動の有無、電圧・周波数などを確認します。
その後、実際の設備負荷(実負荷)または負荷試験機(模擬負荷)を使用して段階的に負荷をかけ、一定時間連続運転を実施します。運転中は、電圧・電流・周波数のほか、黒煙や白煙など排気状態も確認し、安定して電力供給できるかをチェックします。
試験終了後は、無負荷運転によるクールダウンを行い、最後に試験結果を報告書としてまとめます。
報告書は消防点検の記録や今後の維持管理において重要な資料となります。
非常用発電機の負荷試験を依頼するなら
非常用発電機の負荷試験は、単に発電機を運転すればよいというものではなく、専門知識や適切な安全管理が必要となる重要な点検です。業者へ依頼する際は、以下のポイントを確認しておきましょう。
・発電機に関する専門知識や対応力があるか
負荷試験だけでなく、保守点検や修繕まで対応できる業者かを確認することが重要です。万が一トラブルが発生した場合でも、原因調査や改善提案まで対応できる業者であれば安心して任せることができます。
・負荷試験機を自社で保有しているか
模擬負荷試験を行う場合は、負荷試験機を自社保有しているかも確認したいポイントです。自社機材を保有している業者は、スケジュール調整がしやすく、コスト面でも柔軟に対応できる場合があります。また、対象設備に対して十分な負荷容量に対応できるかも事前確認が必要です。
・対応可能エリアを確認する
複数施設や遠方拠点がある場合は、対応地域について事前に確認しておくことも重要です。エリア対応力がある業者であれば、複数拠点の点検管理も依頼しやすくなります。
負荷試験は、非常時に発電機を確実に稼働させるために欠かせない点検です。価格だけではなく、技術力や対応品質も含めて業者を選定することが重要です。
非常用発電機の負荷試験は必須
非常用発電機の負荷試験は、消防法に基づき設備の運転性能を確認する重要な点検です。2018年の制度改正により点検方法の選択肢は増えましたが、非常時に確実に稼働できる状態を維持する重要性は変わりません。非常用発電機は普段使用する機会が少ないため、定期的な点検による状態確認が必要不可欠です。
また、負荷試験には専門知識や専用機材が必要となるため、実績のある専門業者へ依頼することが重要です。弊社では、北海道から沖縄まで年間約1,800件の施工実績があり、負荷試験機も複数台自社保有しております。
点検からメンテナンス、改善提案まで一貫して対応しておりますので、非常用発電機に関するお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。

