非常用発電機(自家発電設備)の点検方法改正についてまとめ
平成30年6月1日に、非常用発電機(自家発電設備)の点検方法が改正されました。
改正前の問題点
・負荷運転実施の際、商用電源を停電させなければ実負荷による点検ができない場合があった。
・屋上や地階など自家発電設備が設置されている場所によっては、疑似孵化装置の配置が困難となり、装置を利用した点検ができない場合があった。
これらの問題を解消するために、従来の点検方法のあり方を科学的に検証し、改正を行いました。
改正のポイントは大きく4つあります。
1.負荷試験に代わる点検方法として内部観察等を追加
改正前は総合点検における運転性能点検の方法は負荷運転のみでしたが、改正後は内部観察等も追加になりました。
内部観察等とは、以下の項目を確認することを言います。
・過給器コンプレッサ翼及びタービン翼並びに排気管等の内部観察
・燃料噴射弁等の確認
・シリンダ摺動面の内部観察
・潤滑油の成分分析
・冷却水の成分分析
内部観察等の点検では下記内容が確認できました。
・負荷運転により確認している不具合を負荷運転と同水準以上で確認できた。
・排気系統等に蓄積した未燃燃料等も負荷運転と同水準以上で除去可能であることが、実機での検証データ等から確認できた。
2.負荷運転及び内部観察等の点検周期を6年に1回に延長
改正前の負荷運転の実施周期は1年に1回でしたが、改正後は運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は6年に1回に延長できることになりました。
予防的な保全策
●1年ごとに確認すべき項目
・予熱栓…予熱栓の発熱部に断線、変形、絶縁不良等がないことを確認する。
・点火栓…電極の異常な消耗がないこと、プラグギャップ値が製造者の指定値範囲であること、異常な燃焼残さ物の付着がないことを確認する。
・潤滑油プライミングポンプ…プライミングポンプが正常に作動していることを確認する。
・冷却水ヒータ…冷却水ヒータケース外周又は近傍の配管等に触れ、その他の部位より温度が高いこと、テスタにて冷却水ヒータの断線等の有無を確認する。
※これらの装置が設けられていない自家発電設備は確認不要です。
●製造者が設定する推奨交換期間内に交換すべき部品
・潤滑油
・冷却水
・燃料フィルター
・潤滑油フィルター
・ファン駆動用Vベルト
・冷却水用等のゴムホース
・燃料、冷却水、潤滑油、給気、排気系統や外箱等に用いられるシール材
・始動用の蓄電池
負荷運転により確認している不具合を発生する部品の推奨交換年数が6年以上であること、通常点検により無負荷運転を6年間行ったとしても運転性能に支障となるような未燃燃料等の蓄積が見られないことが、実機での検証データ等から確認できました。
一方、燃料の供給や燃焼、冷却等が適切に行えない場合には、多量の未燃燃料や燃焼残さ物等が発生することが懸念されることから、経年劣化しやすい部品等について予防的な保全策(年数等により不具合が発生する前に予め交換等)を行っておくことが適当とされました。
3.原動機にガスタービンを用いる自家発電設備は負荷試験を不要とする
改正前はすべての自家発電設備が深運転の対象だったが、改正後は原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷試験は不要となりました。
原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の無負荷運転は、ディーゼルエンジンを用いるものの負荷運転と機械的及び熱的負荷に差が見られず、また、排気系統等における未燃燃料の蓄積等もほとんど発生しないことが、燃料消費量のデータ等から確認できました。
4.換気性能点検を無負荷運転時に実施
改正前は換気性能の点検は負荷運転時に実施していたが、改正後は無負荷運転時に実施するように変更されました。
換気性能の確認は、負荷運転時における温度により確認するとされているが、負荷運転時の室内温度の上昇は軽微で、外気温に大きく依存するため、無負荷運転時に自然換気口の作動状況や機械換気装置の運転状況を確認することより行うことが適当とされました。
この内容は、総務省消防庁予防課設備係「自家発電設備の点検要領の改正等について」をまとめたものです。
改正後の負荷試験や内部観察等、予防的な保全策も弊社で対応可能です。
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